今日のおすすめ本 平安と、もののけと、友情に酔ってみる
「奇妙な男の話をする」
「たとえて言うなら、風に漂いながら夜の虚空に浮く雲のような男の話だ」
お元気ですか。きみどりです。
はらはらと散る梅の花がきれいな時期になりました。
まだまだ寒くて外に出るのも億劫になったりもありますが、歩いていてどこからともなく花の甘い匂いがしてくると、ちょっと得した気分になりますね。
そんな空気の緩むこの時期におすすめの、軽い読み口で雰囲気のある小説をご紹介します。
価格:413円 |
〈あらすじ〉
時は平安。闇が闇として残っていた時代、人も鬼も、もののけも、同じ都の中の暗がりに、息をひそめて暮らしていた時代。
そんなたおやかで雅な闇の時代に、一人の奇妙な男がいた。名は安倍晴明。
陰陽道に通じ、式神を繰り、天地の理を読み解くこの男が、親友であり笛の名手の源博雅と共に、都に跋扈する魑魅魍魎たちを相手に鮮やかに難事件を解決する。
ーおすすめポイントー
* 陰陽の技、妖怪、怪異、不思議な現象が盛沢山
* 短編集で文章も読みやすいため小説初心者にも手に取りやすい
作中にはたくさんの怪異が現れます。
羅生門の上で琵琶をつまびく奇妙な鬼
毎晩現れる、悲しい瞳の口のない美しい女
宙に浮く人の首、文机のようなもの、犬の頭をしたもの、乳房のたくさんある女、ぬめぬめしたもの、その他わけのわからぬもの
そんな魑魅魍魎たちが時には人を喰らい、時には人と楽を重ね、心を通わせたりする。
生き生きと密やかに、確かに私たちの隣には怪異が潜んでいる。そんな妖異の活躍をたっぷりと味合わせてくれるところが魅力であります。
生き生きしているのは妖異だけではありません。二人の主人公安倍晴明と源博雅にも魅力がたくさんあります。
クールで頼れる特殊能力を持った絶世の美男子と男らしくて情に厚い好漢。
対照的な二人ですが、無二の親友として信頼しあっています。
博雅は晴明に「たとえ晴明が妖物であっても、この博雅は、晴明の味方だぞ」と言い切りますし、晴明は博雅をことあるごとに「良い漢だ」、「優しい漢だ」と褒めちぎります。その分、武骨な博雅を女性絡みなんかでからかうこともよくあるのですが。
基本的に晴明がその 知力と陰陽道で事件を解決するのですが、博雅が何気なく言ったことが手掛かりになることも。
シャーロック・ホームズを読んだことがある方ならば、ホームズとワトスン博士を思い起こすかもしれません。
化け物から隠れているときに、博雅が声出しちゃってピンチになることもあるんですけどね。
この「陰陽師」はシリーズ物で現在16巻まで刊行しています。
ですが、長編物2冊を除いてすべて短編集であり、繋がった話がないため非常に手に取りやすくなっています。
どこから読んでも、何から読んでも雰囲気ある平安時代の情景と、移り行く季節の描写、そして何より晴明と博雅の変わらぬ友情と活躍が楽しめます。
ぜひ、これからの春の宵に軽やかで雅な闇の世界を楽しんではいかがでしょうか。
余談ですが、京都市の上京区にこの安倍晴明公を祀ったその名も「晴明神社」があります。
提灯から方角を示す羅針盤、お守りに絵馬に御朱印帳に至るまで、安倍晴明の班紋であるドーマンセーマン(一筆書きの星マーク)がついていて非常に格好いいのです。
京都に行かれた際に立ち寄ってみるのもおすすめですよ。
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